企業やクリエイター、サービスの顔となるロゴのデザイン。
とても難しいけれど、作り上げるまでの過程が楽しいものでもあります。
今回は当サイトのロゴについてのお話。
柔らかく明るい印象を与えるマラカイトグリーンがベースカラー。
ホワイトで引かれた図形のような形が特徴です。
グリーンとホワイトを反転させて使用することもあります。
数字「1000」の中に、カタカナ「ピクト」の文字。
「1」は数字の他に、地図で北を示す方位記号に近い形になっています。
クライアントが求める結果に向けて、最適な航路を描く。
「デザイン(design)」の直訳が「設計」や「図案を作る」という意味になることは、昨今では有名になりました。
設計のためには、クライアントの目標を明確に捉えて「欲しいもの」と「必要なもの」を整理する必要があります。
当方ではヒアリングの過程で、どのような形で顧客に届けるのが効果的か、提案・相談することが多いです。
自費出版書籍など、個人のお客様からのご依頼では「表現したいもの」を重視してヒアリングを行います。
ヒアリングの質がデザインの品質を大きく左右するため、込められたメッセージなどを把握しなければなりません。
そのヒアリングを行う段階が“航海図を描く”行為に似ていると思い、ロゴデザインに地図っぽさを反映しています。
クライアントもまだイメージができていないものを、言語化するお手伝いをすること。 まだ先の見えない海の上で、進むべき方角を見定めること。 目標へ到達するために、本当に必要なものを探り当てること。 目的地までに遭遇する障害物や潮の流れを見極めて、適した航路を描くこと。
実際に制作が始まれば、修正や新しいアイデアを重ねて微調整をしていきます。
航海が始まった時も、現地でのトラブル対応が発生するかもしれません。
モチーフとして採用したのは「北を示す方位記号」と「図形っぽい線」です。
後者は、地図を描く時には定規やコンパスで線を引くことがありますので、そのイメージから。
当サイトのトップページで使用されているイラストも、海図を描いている机のイメージになっています。
対面でお会いした時にお渡ししている名刺の裏面に、このイラストが使用されています。
余談ですが、あの方位記号は「4の字方位記号」とも呼ばれるそうです。確かに4に見える。
デザイン上「4」に見えては困るので、横に伸びる線を少し短くして「1」に近い形にしています。

「1000」と「一線」と本名の掛け合わせ
「1000」は大抵は「千(せん)」と呼ばれるので「一千」は普段あまり使わない表現ですよね。
そのため「1000pict」だと読みにくいですが、名前としては「イッセン」の方が固有の響きで良いかなと思っています。
突然ですが私の実名……苗字には「イ」の音、両親から贈られた名前には「千」という文字が入ります。
「千」に込められた意味は「たくさん」だそうです。なるほど、これは使える!
- 「千」を「たくさんの選択肢・可能性」として。
- 「イ」の音から「ただの千」ではなく「一千(イッセン)」を使うことに。
- 「目標まで一本の筋が通ったデザイン」として「一線」と「イッセン」を掛け合わせる。
「意匠」の「picture」を略した「pict」と合わせて「イッセンピクト」としました。
「目標まで一本の筋が通ったデザイン」は、ロゴの「1000」が下線で全て繋がっていることで表現しています。
余談ですが「pict」はMacOSの画像ファイルの標準フォーマットです。
また、全く関係ないですが……英単語としては「ピクト族」なるスコットランドの北東部に住んでいた古代人を指すそうです。
2022年8月、ロゴのリニューアル
現在のロゴは、過去に使用していたものをブラッシュアップしたものになっています。

過去に使用していたロゴがこちらです。
2019年に制作したもの。
今よりもっと深いグリーン。
非常口の案内ピクトグラムなどを連想するかもしれません。
基本的なコンセプトは変わっていませんが……
現行のロゴと比べるとバランスがあまり良くありません。
当時は文房具のコンパスを数字の「1」に見立てていました。
でも海図で使うコンパスって形が違うんですよね。
上で載せたイラストのようなコンパスを使うそうです。
このデザインに至るまでも試行錯誤を繰り返し、完成してから3年半ほど使用してきました。
せっかく覚えてくださった方もいることですし、印象を変えすぎないブラッシュアップとしました。
初期段階のアイデアスケッチの一部がこちら。
途中で飽きて息抜きに全然関係ないものも描いてますね……
この頃は名称も確定しておらず、あれこれカタカナで候補やキーワードになりそうな単語が書き添えてあります。正直センスが無い響きが多くて恥ずかしい

今回は以上となります。
今後も何かの折に、イッセンピクトとして制作したものの他、趣味での制作も載せていければと思っております。
読んでくださったみなさま!ありがとうございました〜〜